スピーカーの常識を変える。マーティー101・ジュピティ301、タイムドメイン理論に基づいた革新サウンド。
――ピーターさんは1974年に来日されて38年。最近の日本の音楽シーンはどのような印象でしょうか? 表面的にはものすごく変わりましたけど、あまり変化していないと感じる時もありますね。 音楽に関して云えば、70年代に日本に来た当初は、西洋の新しいスタイルを何でもいち早く形だけは取り入れて、真似して作るんだけれど、ポピュラー音楽の歴史は浅いから、例えばブルーズを聴いてもいまだに「1・3」のリズムを取る人もいるんですよ。「2・4」というバックビートの感覚は若い人にはあるけど、その親の世代はたぶん日本の土着的なリズム感覚が残ってるんでしょうね。 形は取り入れるけれども、精神的な部分まで浸透するのにはやっぱり時間がかかるんでしょう。 ――やはり、日本人には「民謡」の感覚が残っていますか? もちろん民謡のような土着的なリズム感は特に地方では残っているでしょうね。でもね、この前、青山にあるライブ会場に知っている人が出演するというので聴きに行ってみたんです。そこではね、「民謡酒場」ってのをやってたんですよ。みんなお酒を飲みながら日本各地のいろんな民謡を出演者が歌うんですね。で、若いお客が多いんだけど、ものすごく盛り上がるんですよ。だから、やっぱりそういう古い文化がまだまだ宿ってるんだなと思ったんです。 今はJ-POPがもちろん一番流行っているワケですけど、あれはまた不思議なものなんだよね。僕の耳には全然しっくりこないんだけど…これだけ長く日本で暮らしてて、なぜああいう音楽が台頭してきたかはわかるんですよ。 今の若い日本人は「西洋的な技術をもった音楽に合わせて日本語で歌う」という新しいタイプの歌を求めていたのは、とても良くわかります。 そりゃ合理的にわかるんだけど、じゃあ感性の面では聴く気になるかって云えば、なぜかならない。技術的にはみんな上手くなりましたけどね。 J-POPができてから、FMラジオはそれしか流さなくなっちゃったよね。J-POPを否定しませんよ。でも、ラジオがそういう曲しかかけなくなっちゃったから、他のジャンルの曲を知らなくなったんですよ。今の20才そこそこの子なんて、洋楽を知らないんですよね。 ――たしかに、ジャズなども若い世代は聴かなくなっているようですね。 僕らの世代はそんなに一生懸命聴こうとしなくてもね、いろんな音楽が電波から流れてきたものですからね。気がついたらなんとなくその曲を知っているような。「文化」ってきっとそういうものだと思うんですよ。気がついたら染み込んでいた、みたいなね。それが最近は、誰でも知っているものと誰も知らないものの間の部分が、ほとんどスカスカになってきたんですよね。主に洋楽の場合ですが。僕なんかがラジオでかける曲は、日本じゃ「マニアック」って呼ばれるんですよ。で、それらをイギリスとかアメリカの人に云わせれば、「普通」ということになるんだと思うんだけど。 ――ブロードキャスターとして番組をお持ちですが、選曲は好評ですよね。放送する楽曲を選ぶ基準はありますか? 基準はとくにないんですよ。自分がいいと思う曲をただ紹介したいというだけですから。それは時代も国もジャンルも関係ないし。でも、一つの番組で脈絡もなく紹介しつづけるとね、ついていけないというリスナーも当然でてくるから、ある程度は番組に「流れ」があるようにはしているつもりです。 ――流れとは? 音楽的に似ている場合の流れもあれば、曲と曲に共通する要素があれば、それを解説しながら話でもっていくとかね。 とにかく番組を聴いていれば、違和感なくついていけるような流れにはできるだけしているんです。 でも、時々ね、リスナーがあまり知らないミュージシャンを紹介することも多いから、番組の敷居が高いと云われることもあるんですよ。リクエストしにくいとか。僕はそんなつもりはないんだけど。やっぱり自分で納得しない音楽は紹介しません。 ――ピーターさんのイメージですと、ロックやR&Bなどを多く聴かれますよね。 僕の好きなロックといえば主に70年代ぐらいのものまでですかね。今の若いミュージシャンでも好きな人がいますが、やってるのは、わりとあの時代に近い音楽だったりとか。それから、子供の頃には全然好きじゃなかったカントリーとか、そういうタイプの音楽も最近聴くようになったし、あとジャズとか、いわゆるワールドミュージックと呼ばれるもの。主にアフリカの音楽が好きだったり。ブラックミュージックは一番好きですね。 でも、ハードロックとかヘビーメタルのような曲は一切聴かないんですよ。それも大学生時代から好きになれなかった。ああいう恐怖のタテノリ。あとハードロック独特の歌い方がありますよね。あれがダメなんですよ。 ――ご自宅にはCDはどのくらいあるんですか? わかんない。数える気にもならない(笑)。万単位であることは間違いないけど…。頻繁に聴くものは机の近くに置いてます。 処分は意外と難しくてね。一度「イイな」と思ったCDはね、いつか番組でかけるかもしれないと考えて保管しておくんだけど。 でも客観的にみれば、10年もまったく聴いていないCDもたくさんあると思うんですよ。そうなるとね、ラジオでかける確率というのはどのぐらい低いかと考えれば…(笑)。 ――レコードも結構お持ちなんですか? 昔のものは取ってます。LPは3000枚くらい。 ――3000枚! どういうオーディオ装置で聴かれてるんですか? それほど、こだわっているわけではないんですけどね。レコードプレーヤーはパイオニアのダイレクトドライブのもの。 70年代の終わり頃から持っているもの。クォーツロックがついてて。あと、CDプレーヤーはSONYのSACDを持っています。それからアンプはね、安いんですよ。前に使ってたアンプがすごく昔のもので、入力端子の数が足りなくて。それでKENWOODを買ったんですよ。音はそんな悪くないけど、特別良くもなくて(笑)、でもとにかく使いやすい! ――入力はたくさん必要ですか? 今もそうなんですけど、カセットがあって、MDがあって、CDがあって、あとはポータブルのDATがあってね、で、レコードプレーヤーがあるでしょ。それが全部ないとダメなんですよ。使う頻度は最近こそ少なくなったけど、一時期はね、どれも良くかけてたんです。最近使うのはね、女房が日本舞踊やってるんですよ。お稽古する曲はね、お師匠さんがもってる45回転のシングル盤なんです。 ――ほほう。ドーナツ型ですね。 そう。長唄とかね。そういうやつですよ。お師匠さんはCDは持ってなくて。女房がドーナツ盤をいろいろ借りて来て、家でカセットに録音するんですよ。再生回転数を微調整できるカセットプレーヤーをもってて、それで踊りのお稽古してるんです。カセットも現役ですね。 ――オーディオという概念よりも聴くツールとしての機材という位置づけですか? そうですね。あくまでも音楽を聴くためにあるようなもので、オーディオそのものに僕はあんまり固執しない。ただね、よくいうのは、たとえばワインが好きですと。ワインというものは、普段はね、手頃な価格のテーブルワインしかだいたい飲まないですね。で、すばらしいワインを飲ませてもらった時にね、その良さは誰でもわかるんだと思うんですよ。「こりゃ素晴らしいワインだ!」と感激する。でも、じゃあ、日頃からそれを飲むかと云ったら、お金の面でも無理だし、そこまで別に凝るつもりはない。それと同じように、もの凄くいいハイエンドのオーディオを聴いたときに「うわぁーこりゃ凄い音だな!」と思うんですよ。 で、感激します。でも普段は、フェラーリ並みのお金をかけて聴くかっていったら、それはない。 ――(笑)まさにそう思います。 友達のおじいさんがオーディオマニアでね、ものすごいシステムを持ってるんですよ。2〜3回遊びに行ったことがあるんですね。で、聴かせてもらうと、不思議とね、システムは素晴らしいけれど、何の音楽をかけるかによってね、全然相性が良くないものもあります。ビックリしました(笑)。 ――現在、ピーターさんのご自宅のスピーカーはどういうシステムですか? これが、滑稽な話なんだけど(笑)。74年に日本に来た時に、一番最初に買ったスピーカーはね、ダイアトーンのいわゆるブックシェルフ型で、あまりクセのない、わりと長時間聞いても飽きない音だったんですけど。それで満足してとくに比較もしなかった。ある時、外に燃えないゴミを出しに行ったら、ゴミの中にね、誰かがJBLのスピーカーを捨ててるんですよ! これ、バブルの時代。目を疑ったんですよ。「エッ!?」って。型番は4312でした。とにかくJBLのスピーカーがペアで捨ててあって、「まさか」と思いながら持って帰ったんですよ。で、接続して自分の持ってるダイアトーンと比べたら、圧倒的にJBLの方がいい音して。結局、それにつなぎ替えてずっと使ってるんですよ。もう20年ぐらい。 ――(笑) ただ、ある時ちょっと音量を上げた時、「ブリブリ」っていうから驚いてメッシュカバーを取ったらね、コーンに破けてるところがあったんですよ。それで前の持ち主は捨てたんだと思います。でも音を上げないとわからない。だから今だに修理せずに(笑)使っています… あと、リビングルームに、B&Oのベオグラム2500っていう一体型のタイプでフラットスピーカー。あの大きさにしては、かなりいい音するものでしたね。 それともう1つは、一度売り込まれて買っちゃったものでね、これもなかなかいいんです。ただ本当はね、もっといい空間におけばさらに良い音を発揮できると思います。メーカーはBOSEです。見た感じは、加湿器かなんかに見えるんですよ(笑)。これにはCDプレーヤーとカセットが付いている一体型のヤツで、スピーカーが前と後ろと横にあるんです。アンプの仕組みもすごく複雑なものらしいんですけど。限定で販売してたものだと思います。 ――ありましたね。一般店頭には発売せずに直接販売する製品として。 そうです。いきなり電話がきて、「ちょっと聴いてほしい」って。で、ウチに来たんですよ。「準備してますから、どうぞお仕事をしててください」って云うから、別室に行ってしばらくして戻るとそのシステムの3つの部分に布をかぶせてあって、音を流すんですよ。ちゃんとステレオになってて、凄くいい音がする。で、その人が「じゃあ布の下はどうなっていると思いますか。想像してください」って云うんですよ。上手なんですよ、これが(笑)。 ――(笑) 布をとったら左右にあるはずのものがまったく無くて、ただ箱が置いてあるだけ。全部真ん中から鳴っているって云うんですよ。本当にいい音してる。ついつい衝動買いしちゃったんです。25万円しました、ちゃんと音が反響するように置く場所を選ばなければならないけど。 ――結構持ってらっしゃいますね(笑)。 まあ、持っているのはそのくらいです(笑)。 ――今回、Jupity301をお試しいただきましたが、それはパソコンにつないでお聴きになったとのことですが そうです。ここ数年ほとんどラップトップで仕事してるんですよ。ラップトップには当然スピーカーがついてるんですけど、オーディオシステムにつなぐのは難しいのでやめました。で、ラップトップのスピーカーだけで聴くと、やっぱりショボい音なんですよ。しょうがないと思っていても、ラジオ用の選曲をしてて、曲の尺を計らなくてはならない時なんかは、iTunesに入れて作業した方がよっぱど早いんですよ。曲のギターソロはこのあたりから入るなんていうのも、全部クリックでできるから、もうその便利さを知ったらね、なかなかやめられないですね。 「フェードアウトはこの辺で」ってなったら、たとえば「3分24秒でOK」ってわかる。そうやって家で番組の構成をするんです。一曲一曲計るんですね。そして、Jupity301をラップトップにつないでから、すごくね、一気にね、音が良くなっちゃってね。もうね、全然別世界(笑)。こうも違うのかって(笑)。 ――もっと早く紹介すれば良かったですね(笑)。 いえいえ(笑)。ちょうど机の上に置いてね、音の出る位置がちょうどいい感じなんですよ。あんまり左右(チャンネル)の意識がない、凄く自然な音像になっている感じ。 ――音のバランスはいかがですか? 最初はね、低音が弱いかなと思ったんだけれど、でも大きさから考えたらそれもわかるし、音量もそんなに上げてないから、ちょっと高望みかなとも思った。だから、低音がビンビン出るようなものはね、サブウーファー置いて。息子なんかそうしてますけど、ディスコじゃあるまいし(笑)。 ――では、ピーターさんのお聴きになっている楽曲には、Jupity程度がちょうどいい。 ビンビンのベースが聴きたかったら、JBLで流した方がいいかなと思うけど。でも、普段そんなにこだわらないし、ボリュームをあげてないし。アコースティックな楽器はね、このスピーカーは本領を発揮してるんじゃないですかね。 ――タイムドメインのスピーカーは音の立ち上がりがいいので、打楽器やトランペットなどの管楽器の音も面白いんですよ。 それは意識して聴いてみます。今のところピアノとかね。ギターとかの弦楽器がいいですね。 ――最後になりますが、未来のお客様にJupity301のオススメポイントを。 僕みたいに仕事で音楽を聴いている人じゃなくても、なんだかんだいって、コンピューターの前に長時間座っている人が多いと思うんですよ。そうやって音楽を聴いている人も多い。つなげるのも、プラグ1つをイヤホンジャックに差すだけで、「こんなにパソコンっていい音だったの?」って思うでしょうね。 ありがとうございました。 © 2006 - 2024 BauXar_Lab. 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